英語を学習しているみなさん、こんにちは。突然ですがIELTSという英語試験をご存知でしょうか。日本ではまだまだ知名度が低いですが、IETLSは年間受験者数が380万人を超える世界的には圧倒的な知名度を誇る英語試験です。
とはいえ、日本では「英語試験」と聞くとTOEICを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
IELTSとTOEICってどっちを受けるべきなの?
IELTSとTOEICの違いってなに?
と思っている方へ向け、この記事では『IELTSとTOEICの違いとは?どっちがいいの?両方受験経験アリの私が解説します』というテーマで以下について解説していきます。
なお、
IELTSってそもそもなに?
と思っている方は、以下の記事でより詳しくIELTSとは何かについて紹介していますので併せてチェックしてみてくださいね。
それでは早速見ていきましょう。
まずはIELTSとTOEIC、それぞれの概要を紹介していきます。
Test of English for International Communicationの略
日常生活やグローバルビジネスにおける活きた英語の力を測定する、世界共通のテスト
1979年開始の日本発祥の英語テスト
主にTOEIC Listening & Reading TestとTOEIC Speaking & Writing Testの2種類がある
得点はリスニング&リーディングが10点~990点、スピーキング&ライティングが0点~400点
International English Language Testing Systemの略
英語圏の国々に留学、就労、または移住するための英語力を測定する国際的な試験
1989年開始のイギリス発祥の英語テスト
主にIELTS AcademicとIELTS General Trainingの2種類がある
得点は1.0~9.0(0.5点刻み)
どちらも英語の試験ではあるのですが、実は内容はけっこう異なっています。つまり「英語の試験は好きなものを受けたらいい」というわけではなく、目的によってどの試験を受けるかを決める必要があるんですね。
今回はこの2つの試験の違いを詳しく掘り下げていきたいと思います。
続いては今回の記事の本題、IELTSとTOEICの違いを項目ごとに紹介していきます。
さっそく、IELTSとTOEICの違いを簡潔に表にしてまとめてみました。
| IELTS | TOEIC | |
|---|---|---|
| ①試験目的 | 日本国内での採用、転職、昇進、進学 | 英語圏への留学や移住、就労 |
| ②測定する技能 | TOEIC Listening & Reading Testではリスニングとリーディング TOEIC Speaking & Writing Testではスピーキングとライティング | 1つのテストでリスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの4技能をすべて測定 |
| ③試験内容・構成 | 合計2時間。リスニング100問・リーディング100問の計200問 | リーディング・リスニング・ライティングで合計およそ3時間、スピーキングは11分から14分。リスニング・リーディングはそれぞれ40問、ライティングはタスク2つ |
| ④使用される英語 | リスニングではアメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド リーディングでは、アメリカ英語とイギリス英語 | リスニングではイギリス・オーストラリア・ニュージーランド リーディングではイギリス式のスペリングや単語 |
| ⑤難易度 | 一般的にIELTSの方が高いと言われている | |
| ⑥解答方法・採点方法 | マークシートの4択問題 リスニング&リーディングが10点~990点 スピーキング&ライティングが0点~400点の間で採点される | ペーパー版では記述式、コンピューター版ではタイプ入力。 1.0~9.0の間で採点される |
| ⑦日本国内での知名度 | 高い | 低い |
| ⑧受験料 | 7,810円(税込み) | 27,500円(税込み) |
それぞれの項目の違いについて、以下に詳しく解説していきます。
| TOEIC | 日常生活やグローバルビジネスにおける活きた英語運用能力の測定 (主に日本国内での採用、転職、昇進、進学に利用されることが多い) |
|---|---|
| IELTS | 英語圏への留学や移住、就労を目的とした国際的な英語能力試験 |
TOEICはビジネス英語の運用能力を測る面が強いのに対し、IELTSは日常会話力を測る面が強くなっています。
日本で仕事をするうえで必要になるのはTOEICだけど、海外留学や移住にはIELTSなんだね。
| TOEIC | TOEIC Listening & Reading Testではリスニングとリーディング、TOEIC Speaking & Writing Testではスピーキングとライティング。2つの異なるテストに分かれている。 |
|---|---|
| IELTS | 1つのテストでリスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの4技能をすべて測定する |
一般的に日本でTOEICというと、TOEIC Listening & Reading Testのことを指します。基本的にTOEICを受験する場合はスピーキングとライティングの対策は不要というわけですね。
ただしIELTSでは、日本人の多くの方が苦手とするスピーキングとライティングの技能も測ることになります。
TOEICの方が対策しやすそうだよね。
| TOEIC | 合計2時間。 リスニング100問・リーディング100問の計200問。 リスニングはPart1からPart4まで、リーディングはPart5からPart7までに分かれている。 |
|---|---|
| IELTS | リーディング・リスニング・ライティングで合計およそ3時間、スピーキングは11分から14分。 リスニング・リーディングはそれぞれ40問、ライティングは2つのタスクについて合計60分で書く。 |
TOEICの細かい構成については、以下のTOEIC難化に関する記事で詳しく紹介しています。
また、IELTSの構成については以下の記事で詳しく紹介しています。
試験の内容はTOEICとIELTSで大きく異なっています。
問題数はもちろん、TOEICでは短文穴埋めや長文穴埋め、短い会話に関して正しい返事を選ぶ、というようないかにも“英語のテスト”という問題なのに対し、
IELTSは長文のパラグラフごとにタイトルをつける問題や文章を正しく要約できているものを選ぶ問題など、日本でいう“国語”のような問題が多いです。またリスニングでは聞こえた単語を正しいスペルで書き取るというような問題も出題されます。
| TOEIC | リスニングではアメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの計5ヶ国の発音が使われる。 リーディングでは、アメリカ英語とイギリス英語両方のスペリングや単語が登場する。 |
|---|---|
| IELTS | リスニングではイギリス・オーストラリア・ニュージーランドなどのアクセントが登場。 リーディングではイギリス式のスペリングや単語が使われる。 |
TOEICでは様々なアクセントの英語が使われるのに対し、IELTSは基本的にはイギリス英語です。ただし、回答する際はアメリカ英語で書いたり話したりしても減点になることはありません。
IELTSを受験するならイギリス英語に慣れておくことは必須!
TOEICの満点はIELTSの7.0~8.0レベルとされており、IELTSの8.5~9.0(満点)はTOEICでは測ることのできない領域とされています。
このことからも、一般的にはIELTSの方が難しいとされています。
IELTSにはスピ-キングとライティングもあるしね。
また、IELTSのアカデミック・モジュールでは日常的に使う英単語のほかに学術的な単語や表現も多く使われるため、難しいと感じる人が多いようです。
ただし、先述の通りこの2つのテストは試験目的や出題内容が大きく異なります。ビジネス英語が得意な人はTOEICの方が簡単だと感じると思いますが、日常会話が得意な人はIELTSのほうがやりやすいと感じるかもしれません。
| TOEIC | 全問マークシートの4択問題 リスニング&リーディングが10点~990点 スピーキング&ライティングが0点~400点の間で採点される。 |
|---|---|
| IELTS | ペーパー版では記述式、コンピューター版ではタイプ入力。 スピーキングは一対一での面接形式。 4技能すべてにおいて1.0~9.0の間で採点され、平均点が合計スコアとなる。 |
TOEICはマークシート、IELTSは答えを自分で記述する必要があるというのが大きな違いですね。そのためIELTSでは、単語を知っていてもスペルを誤ってしまうと減点となります。
またTOEICのスピーキングテストはコンピューターに声を録音するのに対し、IELTSでは試験官と対面で行います。
| TOEIC | 日本国内での知名度が高く多くの企業で活用されている反面、世界的には知名度が低い |
|---|---|
| IELTS | 日本国内での知名度はそこまで高くない一方、英語圏では圧倒的に知名度が高い。 |
日本でも徐々に知名度が高まっているIELTSですが、いまだにTOEICのスコアを重視されがちです。
例えば「IELTS9.0(満点)でした!」と言っても、「それはTOEICだと何点くらい?」と言われることもあるという話も聞いたことがあります。
やはり日本国内で必要なのか、海外で必要になるのかという目的によってどちらを受験するのかを決めることが欠かせませんね。
ちなみにカナダではIELTS対策用の学校があるほどIELTSは有名なテストです。逆にTOEICはほとんど誰も知らないです。
| TOEIC | 7,810円(税込み) |
|---|---|
| IELTS | 27,500円(税込み) |
上記は両方とも、2025年8月現在の日本で受験する場合の受験料です。他の国で受験する場合は値段が異なるので注意しましょう。
それにしてもIELTSは高いですね。せっかく高いお金を払うなら、いいスコアを取るために勉強しようと思えるからいいのか…?
以下は、文部科学省が2016年に作成した『各試験団体のデータによるCEFRとの対照表』をもとに、私が作成したスコア比較表です。
| IELTS | TOEIC/TOEIC S&W | CEFR |
|---|---|---|
| 8.5‐9.0 | C2 | |
| 7.0‐8.0 | 1305‐1490 L&R 945~ S&W 365~ | C1 |
| 5.5‐6.0 | 1095-1300 L&R 785~ S&W 310~ | B2 |
| 4.0‐5.0 | 790-1090 L&R 550~ S&W 240~ | B1 |
| 3.0 | 385-785 L&R 225~ S&W 160~ | A2 |
| 2.0 | 200-380 L&R 120~ S&W 80~ | A1 |
TOEICは、TOEIC Listening & Reading TestとTOEIC Speaking & Writingの合計点で比較しています。(IELTSが4技能を測定する試験であるため)
この表から、IELTSのスコア8.5以上は、TOEICでは比べることのできない領域となっていることがわかりますね。
さて、私は過去にTOEICとIELTSの両方を受験した経験があります。
現時点で最後にTOEICを受けたのは2020年ごろで、855点でした。またIELTSは2025年に受験し、8.0を取得しました。
ここでは私自身が両方の試験を受けてみた体験談をシェアしていきます。
個人的にはIELTSの方がやりやすかったです。その理由を以下に紹介します。
ただし、ここはIELTSの方が難しかったな…と思う点もありました。その理由は以下の通りです。
今回はジェネラルトレーニングを受験したため、日常会話の延長のような試験だった点が、やりやすいと感じた理由なのかなと思います。TOEICので使われるような頻出ビジネス英単語は、IELTSではあまり出てきません。
一般的にIELTSの方が難易度が高いと言われていますが、「IELTSは難しいから無理かも…」と思う必要は全くないと感じました。私もIELTSを受ける前はそう思っていたのですが、人によっては「IELTSの方が簡単」と感じる場合もあります。
私の取得したIELTS8.0はTOEICだと満点に近いレベルですが、ビジネス英語が苦手な私はどう考えてもTOEICで満点取れるとは思えない。
私が2020年にTOEICを受験した際、私はまだ日本で働いておりました。当時の職場に「受けろ」と言われて受験したわけですが、「問題数多くて語彙も難しくて疲れた」と思ったことを覚えています。
私がTOEICを難しいと感じた理由ですが、
こんなところです(笑)IELTSに比べると、文字が多くて解かなきゃいけない問題がたくさん、というイメージですね。そして難しい単語が多いです。
ただしもちろん、TOEICのほうがいいなと思う点もあります。
新卒で入った職場ではTOEICのスコアを評価してもらい、希望の国際系の部署で働かせてもらえたことがあります。
TOEICは日本で働くうえで取っておくと非常に有利であることは間違いないでしょう。
IELTSとTOEICは目的によって受験する方をきめるべきとここまで散々お話してきましたが、実際にどのような人がどちらの試験を受けるべきなのでしょうか?
そこで IELTSを受けるべき人、TOEICを受けるべき人を、試験目的ごとに分類してみました。
大学生でもうすぐ就活を控えているから、アピールポイントがほしい!
日本の企業で英語を使う部署に行きたい!昇進もしたい!
転職を有利にしたい!給料が少しでも上がるといいな
英語圏の大学に進学・留学したい!
英語圏に移住したいから、永住権の申請をしたい!
英語圏で就労ビザを取得したい!
外資系企業への転職のアピールポイントにしたい!
日本国内で使うならTOEIC、海外で使うならIELTS、ただし日本国内でも外資系企業であればIELTSがあると良い、という感じですね。
IELTSとTOEICは試験内容が大きくことなるので、試験対策の方法も異なります。例えば以下のような感じです。
| TOEIC | ビジネス英語の語彙力強化 目標レベルに合わせた対策教材をやりこむ 問題の傾向に慣れる リスニングとリーディングに特化して勉強する |
|---|---|
| IELTS | 4技能を幅広く勉強 イギリス英語に慣れておく ライティングでよく使う表現を覚える スピーキングでよく聞かれる質問に答える練習 アカデミックな語彙も勉強しておく |
IELTSの教材はTOEICよりは少なめですが、調べてみると意外とあるようです。公式問題集はもちろん、インターネット上で対策問題が無料で公開されているものもあります。
ちなみに私はスピーキングはオンライン英会話を、ライティングはAIを使って練習していました。
というわけで、『IELTSとTOEICの違いとは?どっちがいいの?両方受験経験アリの私が解説します』というテーマで記事を書いてきました。
どちらも5文字のアルファベットで似たような響きの英語試験ですが、実は内容はけっこう違うということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、どちらを受験してもいいというわけではなく、目的に沿って受験する方を決める必要があります。試験対策もどちらを受験するのかによってやり方が異なってくるため、効率よく勉強することが大事ですね。
また、日本ではなかなか測る機会のないスピーキング力とライティング力も測りたい!という方はIELTSを受けてみるのもいいかもしれません。IELTSは自分の総合的な英語力を知る指標となってくれるでしょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。みなさんの英語学習を応援しています。