IELTS(アイエルツ)という英語試験をご存知でしょうか?
IELTSは日本ではまだまだ認知度が低いですが、年間受験者数は世界で380万人越え、さらに140を超える国々で合計10,000以上の機関が認定している英語試験です。
IELTSは英語圏での移住や大学進学等に使われている、世界的には圧倒的な知名度を誇る試験なんです。とはいえ、

IELTSって名前は知ってるけど、あんまりピンと来ない…
という人も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、『IELTSのレベル感を英検と比較!2つのテストの違いや難易度を徹底比較!』というテーマで、日本が誇る英語試験、英検と比較してIELTSというテストのレベル感を紐解いていきたいと思います!
この記事で紹介することは以下の通りです。
- IELTSと英検の概要と違い
- IELTSと英検のスコア比較
- IELTSと英検の難易度と詳しい試験内容
- IELTSと英検のどちらを受けるべきか
なお、



IELTSって何?まったく知らない!
という方は以下の記事でIELTSとは何かについて詳しく解説していますので、併せて読んでみてくださいね。


それでは早速見ていきましょう。
IELTSと英検の違いとは?それぞれの特徴を解説


まずはIELTSと英検、それぞれの試験の概要をチェックしていきましょう。
International English Language Testing Systemの略
英語圏の国々に留学、就労、または移住するための英語力を測定する国際的な試験
1989年開始のイギリス発祥の英語テスト
主にIELTS AcademicとIELTS General Trainingの2種類がある
リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4技能を測る
得点は1.0~9.0(0.5点刻み)のバンドスコアで採点
実⽤英語技能検定の略
公益財団法⼈⽇本英語検定協会が主催し、⽂部科学省が後援する日本生まれの英語試験
5級~1級まで、準級も含め8つの級に分かれる
3級~1級はリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4技能を測る
合格・不合格で採点
英語試験と一口に言っても、実は中身はけっこう違っています。
特にIELTSはスコアで採点、英検は合格・不合格で採点されるという点が最大の違いと言えるでしょう。
IELTSと英検の違いを表でまとめてみた
続いてはIELTSと英検のテストの違いを表で確認していきましょう。
IELTS | 英検 | |
---|---|---|
試験科目 | リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング | 3級~1級はリスニング、リーディング、ライティング、スピーキング 5級と4級はリーディングとリスニングのみ |
試験の種類 | アカデミックモジュール ジェネラルトレーニング | 5級~1級 |
解答方法 | 記述式 | マークシート |
採点方式 | 1.0~9.0のバンドスコア方式 | 合格・不合格 |
使用される英語 | 主にイギリス英語 | 主にアメリカ英語 |
主な試験目的 | 英語圏への留学(大学入学)や移住、就労 | 日本での入学試験や就職、一部の海外教育機関への入学 |
発祥地 | イギリス | 日本 |
日本国内での知名度 | 低い | 高い |
受験料 | 27,500円(税込み) | 2,500円~12,500円(税込み) ※級によって値段が異なる ※団体受験は安くなる |



こうしてみると、IELTSと英検は同じ4技能を測る試験だけど違うところが多いね。
英検は自分の英語レベルによって受ける試験(級)が異なりますが、IELTSはどんなレベルの人でも同じ試験を受けます。1つの同じテストに対しどれくらい正解できたかをチェックするのがIELTSに対し、英検は自分のレベルに見合った試験を受けて合格できるかどうかを測るテストというわけですね。
特に試験目的についてですが、IELTSは英語圏で利用されることが多いのに対し、英検は日本国内でで利用されることが多いです。自分の目的によって受ける試験を選ぶことが大切ですね。



にしてもIELTSの受験料高い!簡単に何回も受けられるテストじゃないね…。
なお、日本で知名度の高い英語試験といえばTOEICも忘れちゃいけないですよね。IELTSとTOEICの違いについては以下の記事で解説しています。


IELTSと英検のスコアを換算表で比較してみよう
以下は、文部科学省が2016年に作成した『各試験団体のデータによるCEFRとの対照表』をもとに、私が作成したスコア比較表です。
IELTS | 英検 | CEFR |
---|---|---|
8.5‐9.0 | C2 | |
7.0‐8.0 | 1級 | C1 |
5.5‐6.0 | 準1級 | B2 |
4.0‐5.0 | 2級 | B1 |
3.0 | 準2級 | A2 |
2.0 | 3級~5級 | A1 |
IELTSの8.5~9.0は、英検では比べることのできない領域となっていることがわかります。
さらに、IELTSの各スコアと英検の各級のレベルも比較してみましょう。
IELTS | 英検 | ||
---|---|---|---|
Band 9 | エキスパートユーザー | 1級 | 大学上級程度 |
Band 8 | 非常に優秀なユーザー | 準1級 | 大学中級程度 |
Band 7 | 優秀なユーザー | 2級 | 高校卒業程度 |
Band 6 | 有能なユーザー | 準2級プラス | 高校上級程度 |
Band 5 | 中程度のユーザー | 準2級 | 高校中級程度 |
Band 4 | 限定的ユーザー | 3級 | 中学卒業程度 |
Band 3 | 非常に限定的なユーザー | 4級 | 中学中級程度 |
Band 2 | 一時的なユーザー | 5級 | 中学初級程度 |
Band 1 | 非ユーザー |
IELTSの方は抽象的なのでわかりにくいですが、IELTSは全員が同じテストを受けるのでスコアによってどれくらい流ちょうに英語を使いこなせるかを測っています。IELTSで9.0を取得できる人はネイティブに限りなく近い英語力を有しているということになります。
一方で英検は、級によって出題される英語の範囲が異なります。例えば「3級は不定詞・動名詞・関係代名詞などといった文法事項がよく出ますよ」ということがあらかじめわかっているので、「この級に合格できたら中学卒業レベルの英語力があります」ということが言えるというわけですね。



IELTSはスコアアップを目指していくのに対し、英検はどんどん級を上げていくことができるね。
IELTSと英検の難易度は?試験内容を細かくチェック


IELTSと英検では、一般的にIELTSの方が難しいと言われています。これはIELTSの最高スコアが、英検1級よりもレベルが高いとされているからです。
とはいえ、難しいと感じることは人それぞれです。例えばIELTSとTOEICでは一般的にはIELTSの方が難しいとされていますが、私にとってはIELTSの方が簡単に感じました。



IELTSの日常会話の延長のような問題内容が自分に合っていた。
というわけで、それぞれの試験の問題内容を見てみることで自分に合っていそうか、難しそうかどうかを知ることができるかもしれません。
続いてはIELTSと英検、それぞれの試験内容を詳しくチェックしていきましょう。
リスニング
まずはリスニングパートを見ていきましょう。
- IELTS
-
全40問で、パート1~4に分かれています。
社会生活を営む上での基本な会話が半分、教育または研修の文脈に関連する状況が残りの半分となっており、モノローグ(1人語り)から4人までの会話を聞き取ります。
マークシートではないため、聞き取った英単語を正しく書き取るという問題もあるのが特徴です。そのため、その単語を知らなかったり、スペルがあやふやだったりすると答えられなくなってしまいます。
主にイギリス英語で出題されます。
- 英検
-
約30問で、第1部、第2部、第3部などに分かれています。
対話を聞いて適切な答えを選ぶ問題、イラストを参考にしながら対話を聞く問題、少し長めの文章を聞いた後に質問に答える問題、長めのインタビューの様子を聞いて質問に答える問題など、
級によって問題の形式は異なります。内容一致や適切な応答の選択など様々なパターンの問題があります。
級が上がるにつれて、複数話者の会話やより高度な文章を聞き取る必要が出てきます。
主にアメリカ英語で出題されます。
リーディング
続いてはリーディングパートです。
- IELTS
-
全40問で、パート1~3に分かれています。リーディングはアカデミックとジェネラルで問題が異なります。
アカデミックでは、説明文や分析や議論などを含む長文、複数の視点や意見が含まれる専門的な分野についての文章が出題されます。
ジェネラルでは、日常生活で最低限必要になる読解力を問う文章、仕事に関する説明文、より詳しい少し専門的なことに関する文章が出題されます。
文法や語彙力を問う問題はなく、単純に文章を読解する能力を測ります。英検には無いタイプの問題としては、本文中の語句をそのまま抜き出して空欄を埋める記述式の空所補充問題があります。
- 英検
-
約15問~41問で、級によって問題数が異なります。
短文の空所補充、正しい語順に並び替える問題、短い文章の内容一致、長文読解、メール文の読解などの様々な問題形式があり、級が上がるほど高度な語彙を用いた複雑な文章が増えます。
IELTSと違い、文法の知識や語彙力を測る空所補充があるのが特徴的です。



1級の語彙はかなり難しい!peripheralやcrucifyなどIELTSで8.0を取った私でも全然知らないものばかり。一方でIELTSは、日常的に一般的に使われる語彙が多い印象。
ライティング
続いてはライティングです。
- IELTS
-
ライティングはタスク1とタスク2に分かれており、アカデミックとジェネラルで問題が異なります。
アカデミックの問題の内容は、図表(グラフ・表・地図など)、の要約・説明エッセイ形式で社会的な話題の原因や解決策に関する意見を論理的に説明するというものです。
ジェネラルの問題の内容は、指定された状況に対して英文で手紙を書く(苦情やアドバイスなど)、エッセイ形式で社会的な話題に対して自分の意見を述べるというものです。
IELTSのライティングは、すべて自由英作文となります。
- 英検
-
自由英作文(与えられたトピックに関するエッセイ)のほか、準1級と1級では資料を読解して要約するという問題も出題されます。級が上がるほど、文字数制限が増えて問題の難易度も上がります。



IELTSは自由英作文だけど、英検はまず文章を読んで内容を理解し、それを要約する能力が必要になるんだね。
スピーキング
最後はスピーキングです。
- IELTS
-
IELTSのスピーキングはパート1~3に分かれており、試験官と1対1の面接形式で行われます。
聞かれる内容の例自身に関する一般的な質問(家族、故郷、仕事など)、特定のトピックについて自分の意見を述べるスピーチ、先述の話題に関連したより抽象的かつ深いディスカッション
ランダムな質問が矢継ぎ早に飛んできます。また、変化球な質問も多いのでどんな質問にも対応できる英語力が求められます。
答えの長さは1分弱程度でよく、日常会話の延長のような感じなので専門的すぎるような難しい質問はありません。
- 英検
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英検では3級以上はスピーキングテストが必須です。こちらも試験官との1対1の面接形式です。
文章の音読、文章の内容についての質問、意見を述べる問題のほか、試験官との日常会話やトピックを選んで行うスピーチ(1級のみ)、イラストに関する質問に答えるなど様々な形式があるます。級が上がるごとに難易度も上がり、より高度な説明や質問に対する答えが求められます。
日常会話以外は全て、それぞれ1つの質問に対して答えるのみです。
英検のスピーキングテストの流れの例音読→文章についての質問(1問)→イラストについて説明する(1問)→トピックに対する意見(1問)→その他トピックに関する意見(1問)



IELTSは試験官とずっと会話をしているような感覚で次々質問が飛んでくる感じだけど、英検は「はい、では次の問題です。」というように1問ずつ進んでいく感じだね。
IELTSと英検どっちを受けるべき?その答えは目的次第!
というわけで、IELTSと英検は同じ英語力を測る試験でありながら内容が異なるということが分かったと思います。



じゃあ結局どっちを受けたらいいの!?
と思う人も多いかと思いますので、目的別にどちらを受けるべきかを紹介していきたいと思います。
英語圏への移住や留学(主に大学やカレッジへの入学)を考えている人
外資系企業での就職や転職を考えている人
中学・高校・大学受験を有利に進めたい学生
日本での就職活動でアピールポイントにしたい人(2級以上)
IELTSは日本での知名度はまだ高くないため、日本での就活で使おうと思っても採用担当者に英語レベルが伝わりにくいかもしれません。
一方で海外留学をする際に英語力の証明に英検を利用したいと思っても、海外で知名度の低い英検は利用できないかもしれません。
自分の状況に合わせて、IELTS、英検、もしくはTOEICのどれを受けるべきなのかを確認しておきましょう。
【まとめ】IELTSと英検は似て非なるテスト!目的に合わせて受験しよう


というわけで、『IELTSのレベル感を英検と比較!2つのテストの違いや難易度を徹底比較!』というテーマで記事を書かせていただきました。
IELTSと英検は、
IELTSは記述式、主にイギリス英語、英語圏での移住や留学に使える、1.0~9.0のスコアで採点
英検はマーク式、主にアメリカ英語、日本国内での進学や就職に使える、合格・不合格で採点
という主な違いがあることがおわかりいただけたでしょうか。
IELTSの方が一般的に難しいとされていますが、英検は級によって難易度は大きく異なります。
個人的には専門的で難しい語彙が頻出する英検1級は、IELTSよりも難しいのでは?と思ってしまいます。



英検1級に出てくる語彙は、日常会話ではほとんど使わないものも多い感じがしますね。
テストによって自分に合う、合わないもあるので、「IELTSは英検より難しいから私にはムリだ」などと思わずにぜひ挑戦してみてくださいね。
みなさんの英語学習を応援しています。ここまでお読みいただきありがとうございました。