『出川イングリッシュ』という言葉があります。
以前は『抱かれたくない男No.1』として君臨していた(現在は飛ぶ鳥を落とす勢いで大ブレイク中!)お笑い芸人の出川哲朗さんが発する英語のことです。
今でこそ大人気番組となった『イッテQ!』は管理人も初期の頃から応援していますが、そんな『イッテQ!』の中である時新企画が生まれました。
その名も
『出川哲朗はじめてのおつかい』
この企画は一体どのような内容なのかというと、本家『はじめてのおつかい』になぞらえ、ご意見番である出川さんが英語圏の諸外国にて様々なミッションに『ひとりで』挑戦するものです。ただ、日本国内でおつかいをしてもただの『おじさんのおつかい』になってしまうので、これを英語圏でやることによって難易度を上げようという面白い企画となっています。
おつかいの中で、出川さんは独自の解釈とセンスによって様々な名言を生み出しています。
当サイトも英語学習サイトということで、初回からその様子を取り上げ、まとめと解説を行ってきました。なんでも、この企画は大人気企画となり、出川さん曰く学校の英語の授業でも取り入れられているそうです笑
さて、そんな『出川イングリッシュ』ですが、世の中では賛否両論となっているとのこと。回が進むごとにその傾向は進み、色々な所で色々な人が色々な意見を言っている様子です。人それぞれ意見が異なることは世の常ですので全く正常であると思いますし、まともな議論は有益であると感じます。
そこで今回は当サイト『EARTHIANS™』の公式な見解ということで、出川イングリッシュの是非について記事にしておきたいと思います。
その昔の学生時代は難関と言われるテレビ局『NHK』の最終面接まで行った管理人が『テレビ的にどうなのか』ということも交えながらお話するため、ここでしか得られない観点で皆さまにお伝えしようと思います。
世間の様々な評価
前述したように、出川イングリッシュに対しては、世間で賛否両輪の状態となっています。
両者の意見をちょっと見てみましょう。
否定的な意見
少し前にエキサイトニュースにてこんな記事がありました。
その後も出川は、シンプルな英単語の組み合わせだけで「英語は通じる」と強調。イッテQでは四苦八苦しながら外国人とコミュニケーションをとることに成功し、視聴者から称賛を浴びている出川だが、この日ばかりは視聴者の視線は厳しかった。
《知識に対する敬意がない》
《出川の様な人が増えたら日本の文化が廃れるな》《「英語は実践とハート」と言うけれど、英語話せてないだろ》ツイッターでは出川を批判する投稿が多くみられた。
引用元:『出川イングリッシュの方が通じる』という出川哲朗の主張に激しい批判
だいたいこのような発言をされている方々は『英語が恥ずかしすぎて日本の恥』『日本人のバカさを露呈している』との意見が大半です。また、企画としては別モノですが、『パパラッチ出川』という出川さんが海外のスターのパパラッチをするというコーナーにおいて、主演の映画の名前を間違えていたり、正しく言えていなことに憤慨している様子です。
その他番組の在り方と芸人としての生き方という視点から批判されている方もいらっしゃいます。
彼は出来ないことを売りにしていて、英語を学んで成長したら、その売りがなくなる。だから1年たっても、2年たっても「ニアニアワード、カモン」としか言わない。見てる方も飽きる。ダメでしょ、それは。同じ企画が出ることは予想されるのだから、それに備えて学ぶのが普通の芸人でしょう。
彼ほど売れているのであれば、番組を通じて成長していく姿を見せればいいじゃないか。それを芸能人が同じ芸で2年も3年も食べられると考えているのであれば、世間は甘くないよと言いたい。それなのに出川さんは成長したら仕事がなくなると考えているのか、出来ないことを売りにし続けている。もう、見ていて痛々しい。
引用元:出川イングリッシュ見るだけで痛々しい、僕は無理だね
あくまでも一部ですが、その他ネット上には否定的な意見が沢山存在します。
全てこの場で紹介することはできませんので、気になる方はググってみて下さい。
肯定的な意見
一方で出川イングリッシュに賛同している方々も多く存在します。
「はじめてのおつかい」というミッションがあるからかもしれませんが、出川さんは「伝えたい」という気持ちが圧倒的に強いですよね。
「伝えたい」という気持ちが、「完璧な文章で話さなければ」という気持ちに勝っている。
この「なりふり構わない真剣感」って、相手にも伝わるし、そうすれば相手も助けてあげたいという気持ちになる。
引用元:出川イングリッシュのすごいところ
出川さんの積極的な姿勢を評価しているようです。
また、単純にコミュニケーションを取れれば良いということでカタコトであったとしてもそれを良しとする見解もあります。
英語はどれだけ学んでも実際に話す機会がたくさんなければ身に付きません。
英語が話せないと
「通じないかもしれない」
と話しかけるのが億劫になってしまうかもしれませんが、私たちがこうして日本語を話せるようになったのも、日常的に話す機会があるからです。
海外の人たちとの会話はイッテQ視聴者の方ならもうお気づきかと思いますが、片言のコミュニケーション能力でもなんとかなるということです。
引用元:出川イングリッシュはこんなに凄い!英会話の新しいカタチ?(ネイティブキャンプ公式ブログ)
その他twitterでも日々多くの人が出川イングリッシュについて呟いており、その多くが肯定的なものばかりです。
以上のように、ネット上では賛同派も否定派も半々くらいで落ち着いているというのが今の現状でしょう。
では、当スクールはどのように考えているのかということを以下でお伝えしていこうと思います。当サイトの愛読者様で過去のまとめを最初からご覧になられていらっしゃる方であれば、だいたいどのような立場であるのかということは薄々気付かれていらっしゃる方もいるかと存じます。
番組企画としての面白さ
まずは、出川イングリッシュを考える大前提として、『テレビ番組の企画』という観点から考えなければいけません。というのも、『イッテQ!』は英語教育番組でもなんでもなく、バラエティー番組に過ぎないからです。
バラエティの一画として考えた場合、この企画は大成功であると言えるでしょう。そもそも、こんな番組内の一つのコーナーが社会現象になるまで話題にされることなどまず無いことだからです。
良い悪いは別問題として、結局のところ視聴率が取れればスポンサーにも良い顔ができるというものです(NHKだけは受信料による運営の為、別枠扱い)。その点、このようにネットで出川イングリッシュが話題にされることによって、まだ出川イングリッシュのことを知らない多くの人も『そんなに面白いなら見てみようか』という話になるのです。
これは番組制作サイドとしても成功としか言いようが無いと思いますし、実際に多くの視聴者を笑いの渦に巻き込んでいることは自明の理なわけですから、企画としてもしっかり成立していると思います。
従って、番組のコーナーとしての要件は十分に満たしていると考えられ、後は視聴者が『番組の企画に何を求めるか』と『各個人間における価値観と受け取り方』次第の問題になってくるでしょう。
英語教育的にどうなのか
批判的な意見の多くは、扱っているテーマが『英語』という誰しもがその成長過程で通る道であることから、『バラエティの企画』という線引きを超え、そこに『教育的要素』を求めていることに起因します。
大事なことなのでもう一度言います。
『バラエティの企画』という線引きを超え、そこに『教育的要素』を求めていることに起因するのです。
ただのお笑いとして見れば何の問題も無いわけですが、ちょっと英語をかじったり、勉強している人に限って『あれやこれや』と意見を言いたがる傾向にあると思います。高校生や大学生の方に多いですね。出川イングリッシュが英語教育的に良いかどうかは2つの側面から検討しなければなりません。一つは出川さんが使っている文法や単語の正確性です。もう一つは積極性やコミュニケーション能力など、精神論がメインになってくるものです。
前者の英文の正確性に関しては、皆さんも既にお分かりの通り、壊滅的です。というか文法もクソもありません。基本的に単語と単語の羅列によって文章は作られ、そこには知性のカケラも見当たりません笑
そもそも企画の根本自体が『出川さんの壊滅的かつ意味不明な英語を皆で見て笑おう』というものであるため、流暢にお話し始めたら本末転倒なわけです。前述の通り、番組内でも学校教材の一貫として取り入れている所もあるようですが、文法的には終わっているため、おそらくは後者の理由で採用されているのだと思います。
その後者こそ、先ほど述べた『積極性』及び『コミュニケーション能力』であるということです。番組をご覧の方であればご存知の通り、出川さんは英語ができないにも関わらず、積極的に外国人に対して話しかけていきます。その様子は『恥じらい』や『物怖じ』を一切感じさせません。
日本人、特に中学生・高校生の方は自分の英語が間違っていると恥ずかしいという思いから、積極的に会話をすることを避ける傾向にあるようです。これは昔から変わらない傾向なのですが、この点において出川イングリッシュが参考になると考えられ、教材にされていると推測します。実際に出川さんの積極性は見習うべきであると思いますし、その様子を見ることによって勇気付けられる人も多く存在することでしょう。
従って、上記2点を考慮すれば、ある意味では英語教育的に全く使い物にならないのに対して、もう一つの側面から見れば非常に優秀な見本にもなり得るということです。この事象をどの角度から捉えるのかということが論争の根本の原因になっているような気がします。
それならば、『良い側面だけを見て、英語学習に活かせば良いのでは無いか』と感じる人も多くいるでしょう。その考えは全く間違っていません。しかし、出川イングリッシュをいたずらに盲信するのはおすすめしません。
具体的に言うと、
『俺は出川イングリッシュでいけるからなんとかなるっしょ!』
『海外の人は皆本気で伝えれば、耳を傾けてくれる』
『ブロークンイングリッシュでも、魂で伝えれば大丈夫!』
と思っている人は要注意であると言うことです。
将来的に英語を全く使う必要が無い方・使う気も無い方、グローバルな国際舞台は興味が無い方は良いのですが、特に真面目に英語頑張っていらっしゃる方がこの思考を始めると危険です。
以下で根拠を述べていきますが、ここまで深く出川イングリッシュを考察している所は当サイトくらいだと思います笑
出川イングリッシュを盲信してはいけない理由
出川イングリッシュを徒らに褒め称える人がいますが、当サイトは出川イングリッシュを徒らに盲信すべきでは無いと考えています。ここでは普段は考察されないことに言及していこうと思います。
盲信してはいけない理由は主に4つ存在します。
①『出川イングリッシュ』のノンバーバルコミュニケーション的側面
まず、『出川イングリッシュ』をバーバルコミュニケーションであると考えている人がいますが、その考えは大いに間違ってます。
あれは、
ノンバーバルコミュニケーション
です。言語を使っていますが、実際のあのコミュニケーションにおいて言語が占めている要素は限りなく低いのです。
普通の人であれば、『すみません』と声を掛けても立ち止まってすらもらえない所、どうして出川さんはあそこまで相手にしてもらえるか考えたことはあるでしょうか。『出川イングリッシュ』だからコミュニケーションが成立しているのではありません。『出川さんだから』コミュニケーションが成立しているのです。
つまり、『出川イングリッシュ』によるコミュニケーションを成立させているのは、『出川イングリッシュ』や『壊滅的な英語』なのではなく、『出川さんの愛嬌のある笑顔・マスコットキャラクターのような体型・お笑いで培った雰囲気・憎めない人柄』によるものだと言うことです。端的に言ってしまえば、あれは出川さんだからできるものなのです。
あれを一般人がやろうものなら、確実に怪訝な顔をされるか、相手にされないのがオチであると言えるでしょう。出川さんの雰囲気だから相手も笑って許してくれているのです。
これを履き違えて『誰でも出川イングリッシュで許される』と思ったら大間違いだということです。
②『テレビのロケ』という守られた状況
次に、誰も言及していないポイントですが、あれは『テレビのロケ』という『超特殊な環境下』で行われるものであるということです。普通に、英語が出来ない日本人が外国に言ってあの態度を取れるわけがありません。
カタチとしては『ひとりでおつかい(ミッション)に挑む』ということになっています。しかし、皆さん気付いていないかもしれませんが
同行スタッフくっそ多いです
これは当たり前の話です。何か出川さんの英語に問題があって、トラブルになった時などすぐに駆けつけて事情を説明しなければなりませんし、タレントの安全を守ることも制作サイドの仕事です。
そのため、カメラマン・音声さん・ディレクター・AD・マネージャー・通訳・その他関連スタッフ等がわらわらおります。最初のスタート時のカウントダウンのシーンを見ても一目瞭然です。
これは出川さんにとっては非常に安心材料になります。『何かあっても見てくれている』『最悪の場合助けに来てくれる』という安心感は異常なまでの積極性を生み出すことが予想されます。
普通の人間であれば、海外で助けてくれる人は誰もいません。ましてや1人でいる時などに、あそこまでなに振り構わずに話しかけることなど不可能だと思います。
従って、あれが通常なのではなく、あくまでも海外におけるロケーションとして守られた環境下で行なっていることを意識しておく必要があります。
事前に場所・公共交通機関等がリサーチされている番組内で仕事として会話するのと、プライベートで見ず知らずの街で質問するのを同じ天秤で比べてはいけないという事です。
③ 必ず入る『編集』という落とし穴
そして、もう一つ意識されないポイントが『編集』だということです。これはテレビ番組である以上、必ず介入してきます。
管理人は日テレの人間ではないので、実際にどれくらい尺を削っているのかは分かりません。これは制作サイドにしか分からないことです。
しかし、大幅な編集を加えていることは間違いの無い事実です。
ボツネタやお蔵入りも沢山存在します。
例えば、向こうのロケ地に到着して一番最後のシーンだけ最初に撮影してしまう、ということはよくあったりします。
従って、編集では出川さんが巧みに出川イングリッシュを操り、あたかもコミュニケーションの達人であるかのように見せていますが、実際はあれの何倍も無視されたり、バカにされたり、相手にされないといった、所謂『使えない』シーンがあると思われます。
テレビでオンエアされる部分だけが全てだというのは間違っており、その影にはテレビで放送できないようなアクシデントやトラブルも必ずあります。
あくまでオンエアは作られたものであり、タレントの面白さも含め、今の時代は編集でどうにでもなるということを心に留めておきましょう。
④『演出』という名の『ヤラせ』に伴う出川さんの演技
このように、バラエティー番組では演出という名のやらせは日常茶飯事です。
やらせそのものが悪いと言っているのではなく、バラエティというものはそういうものだということです。
出川さんも、初回の頃はだいぶ自然な出川イングリッシュを使っていましたが、回を重ねる毎にあー、これはあえて面白おかしく言ってるなと思われる発言もあります。
これはよーく見ていればわざとかどうかは分かります。
台本に加えて、なるべく絵を面白くしようとする出川さんの個人的な努力も加わり、本当に心から出てきている自然な出川イングリッシュではないような気が最近はするのです。
まとめ
ここまで当サイトの持論を展開してきましたが、いかがだったでしょうか。
ある程度納得して頂ける部分もあるのではないかと思います。
出川イングリッシュ賛否の決定打とは
結局のところ、出川イングリッシュの賛否の決定打というのはどこにあるのでしょうか。
思うに、これはもはや『出川哲郎という1人のタレントが好きか嫌いか』に大きく関わってくるのではないでしょうか。好きな人が頑張ってブロークンイングリッシュでコミュニケーションを取っていたら応援したくなりますし、嫌いな人が同じことをしていたら徹底的に叩く傾向にあるのが人間の心理だと言えます。
どうしても人間ですから、人の好き嫌いがあるのは仕方ないことです。
管理人は出川さんは好きなので、応援しまくっていますが、もし嫌いな人だったら記事にもしていないかもしれません笑
要は、好き嫌いだということです。
これは就職、昇進、結婚、ご近所付き合い等人生において常に付きまとうので仕方無いことかもしれません。
なぜ当サイトは絶賛しているのか
だらだらと色んな事を書いてきましたが、なぜ当サイトがそこまでしてこの企画と出川イングリッシュを応援しているのかを書き記しておこうと思います。
理由は非常に単純で、今までは英語なんて大嫌いだった人たちも、出川イングリッシュによって、『英語ってなんか面白いかも』と思う人たちが増える大きな可能性を感じずにはいられないからです。
出川イングリッシュを見て、『本当はこういう時なんて言うんだろう』と考えたり、『英語を学ぶって楽しいな、ちょっとやってみるか』という人たちが必ず出てくるからです。
この、英語学習に対する『きっかけ』を生み出せているのは非常に大きな功績だと感じていますし、出川イングリッシュが起爆剤となって、英語の道を極めていく人も現れるかもしれません。
そういった英語の楽しさや魅力を伝えていける可能性を持っている、というのが当サイトで取り上げた一番の理由なのです。
最後に(P.S.)
最後に当サイトから伝えたい事は、バラエティなんだから単純に楽しめばいいじゃん!って話です。
教育番組じゃないんだからいいやん
要するに、ただのバラエティの一画のコーナーに対して、教育的観点を持ち出していい歳した大人がギャーギャー言うレベルの話ではないし、誰もそんな真面目に考えてないのです。
だから、極論は『出川イングリッシュヤバい!』『ウケるwww』で笑っていればいいのです。
テレビなんですから。
バラエティにそれ以上の事を求めるのも、お門違いです。いつも言っていますが、演出やヤラせを含めてバラエティ楽しめるのが真の大人というものです。
それくらいの余裕が欲しいです。
出川イングリッシュがバラエティの企画で行われる以上、最後の最後までバラエティであり、英語として為になるとかならないとか、クソみたいな文法で恥さらしだとかいった議論はもはや不毛でしかないのです。
この点さえ押さえている人は、正に出川イングリッシュから良い所だけを吸収できているでしょう。
この企画がいつまで続くかは分かりませんが、当サイトは当該企画と出川イングリッシュをこれからも応援していこうと思います。
本日は『出川イングリッシュを盲信してはいけない理由とは!?日頃絶賛している当サイトがその裏に隠されたデメリットをお伝えします』
というテーマでお話してみました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。