IELTS(アイエルツ)という英語試験をご存知でしょうか?
日本では英語試験と聞くとTOEICや英検を思い浮かべる人が多いと思いますが、IELTSは英語力を測る指標として世界的に知名度が高い試験なのです。
IELTSの年間受験者数がは世界で380万人を超えており、さらに140を超える国々で合計10,000以上の機関が認定しています。このことからも、かなり有名な英語試験であることが伺えますね。
さて、このIELTSは日本ではあまり利用する機会がないのですが、
海外の大学・大学院に留学したい!
という人には欠かせない試験なのです。
もしあなたが、

将来的に海外大学への留学に興味があるなあ。



留学にはIELTSが必要と聞いたけど、あまりよく知らない
という状況であれば、今こそIELTSのことを知って勉強を始めるときです!
というわけでこの記事では、『留学に必要なIELTSのスコア目安は?海外大学・大学院を目指す人集まれ!』というテーマで以下のことについて紹介していきます。
- 海外留学にはIELTSが必要なのか?
- 大学・大学院留学に必要なIELTSスコアを国別で確認
- 交換留学における日本の大学で必要なIELTSスコアを確認
- 留学のためにIELTSを受ける人への注意点
- IELTSに向け勉強するための対策方法
この記事を書く私は、IELTSのジェネラルを受験し8.0を取得した経験があります。
IELTSの勉強の第一歩は、自分に必要なスコアを知るところから!それでは早速見ていきましょう。
なおそもそもIELTSってなに?何も知らない!という方は、以下の記事も併せてチェックしてみてくださいね。


海外留学にはIELTSが必要なの?


この記事のタイトルでは、「留学に必要なIELTSのスコア」という書き方をしましたが、語学留学やワーホリに行くのにIELTSは必要ではありません。
IELTSが必要なのは、主に英語圏の大学・大学院に留学をする人です。
大学や大学院では、留学生の入学要件として十分な英語力があることを条件としている場合がほとんどです。
例えばこちらは、アメリカのコロンビア大学の英語能力に関する必要条件(English Proficiency Requirements)のページです。IELTSはミニマムで7.5が必要と書いてありますね。


英語が母国語でない人や英語での学校教育を受けてきていない人は、各大学が設ける英語能力の基準を満たす必要があるのです。



英語ができないと大学の授業についていけないしね…
大学留学に必要なIELTSスコアを国別で確認


それでは、具体的に大学・大学院に留学するためにどれくらいのIELTSスコアが必要なのかを国別・学校別で見ていきましょう。



目標スコアが見えたら勉強の筋道も立てられるね!
なお、
- 総合点がよくても、定められた最低スコアを下回る技能があると受け入れてもらえない
- 同じ大学でも学部によって英語能力の基準が異なる場合がある
- 大学よりも大学院の方が求められるスコアは高い傾向がある
ということに注意して見ていきましょう。
イギリス
まずはIELTS発祥の地、イギリスです。
オックスフォード大学(University of Oxford) | 世界大学ランキング4位 | 7.0、各技能最低6.5(地球科学学部) 7.5、各技能ト最低7.0(法律学部)など |
---|---|---|
ケンブリッジ大学 (University of Cambridge) | 世界大学ランキング6位 | 7.5、各技能最低7.0 |
シェフィールド大学 (The University of Sheffield) | 世界大学ランキング92位 | 6.0、各技能最低5.5 |
ノッティンガム大学 (University of Nottingham) | 世界大学ランキング97位 | 6.0、各技能最低5.5 |
※世界大学ランキングは、2026年版のQS World University Rankings 2026: Top Global Universities | TopUniversitiesを参考にしています。
一番高いもので、オックスフォード大学の7.5です。これはかなり難関ですね。
例えばケンブリッジ大学に行きたい場合、以下のように総合点は8.0と基準を上回っていても、ライティングで6.5を取ってしまっているのでこれは失格になるというわけですね。
リーディング | ライティング | リスニング | スピーキング | オーバーオール |
---|---|---|---|---|
8.0 | 6.5 | 8.0 | 9.0 | 8.0 |



十分高得点なのに、一個ミスったらもうダメだなんて!
アメリカ
アメリカの英語試験といえば、TOEFLじゃない?
と思う人もいるかもしれません。TOEFLはアメリカ発祥のため、アメリカを始め北米の大学の多くで受け入れられている試験ですが、ほとんどの主要大学でIELTSも認定されています。
アメリカの大学の、IELTSの基準スコアをいくつか見ていきましょう。
マサチューセッツ工科大学 (Massachusetts Institute of Technology) | 世界大学ランキング1位 | 最低7.0 推奨7.5 |
---|---|---|
スタンフォード大学 (Stanford University) | 世界大学ランキング3位 | 推奨スコア(Recommended Score):7.5、各技能最低7.0 (基準の明記はなし) |
ボストン大学 (Boston University) | 世界大学ランキング88位 | 6.5~7.0 |
カリフォルニア大学デイビスキャンパス (University of California, Davis) | 世界大学ランキング114位 | 7.0、各技能最低6.5 |
世界大学ランキング1位のマサチューセッツ工科大学では、IELTSスコア7.5が推奨されています。
7.0でも出願に必要なスコアに足りてはいますが、合格者に多いスコア帯が7.5のようです。
このように、「出願できる最低スコアはこれだけど、より高い点を取っておいた方がいい」というパターンもあるようですね。
オーストラリア
続いては日本人留学生にも人気の高い国、オーストラリアです。大自然が魅力的ですよね。
メルボルン大学 (The University of Melbourne) | 世界大学ランキング19位 | 6.5、各パート最低6.0 |
---|---|---|
ニューサウスウェールズ大学 (The University of New South Wales) | 世界大学ランキング20位 | 6.5~7.0、各パート最低6.0 |
シドニー工科大学 (University of Technology Sydney) | 世界大学ランキング96位 | 6.5~7.0 |
オーストラリアはイギリスやアメリカの大学と比べると、少し要件が低めに設定されている印象です。
とはいえ、学部によっては高いスコアを求められたり、スピーキングやリスニングで8.0以上などの別途の要件が課されることもあります。



ハードルは低めだけど、各セクションで均等にスコアを取ることも忘れずに!
カナダ
続いては多国籍国家といて留学生も多いカナダです。
マギル大学 (McGill University) | 世界大学ランキング27位 | 6.5、各パート最低6.0 |
---|---|---|
トロント大学 (University of Toronto) | 世界大学ランキング29位 | 6.5、各パート最低6.0 |
アルバータ大学 (University of Alberta) | 世界大学ランキング94位 | 6.5、各パート最低6.0 |
カナダも英語能力の要件は少々低めに設定されている印象です。もちろんこちらも学部によっては、より高いスコアを必要とする場合があります。
カナダは英語のほかにフランス語も公用語ですが、フランス語圏は主にケベック州です。その他の州では英語が話されており、カナダ人であってもフランス語が話せない人も多いです。
なおマギル大学はフランス語圏にありますが、英語で授業を行う大学なので英語能力が必要となっています。



留学先として人気の高いカナダ!多国籍国家なので留学しやすい環境が整っている。


というわけで結論。
大学・大学院留学には、IELTSスコア6.5~7.5が必要
目指す学部によって必要スコアに違いがある
すべての技能で最低点をクリアしていないといけない。
留学のためにIELTSを受ける人への注意点


海外大学・大学院への留学のためにIELTSを受けようと思っている方へ、IELTSを受験する際の注意点を紹介していきます。



とにかくIELTSでいい点取れたらオッケー!
というわけではなく、細かい要件を見落としてしまうと、出願できなくなってしまう可能性すらあるのです!
アカデミックを受験する必要がある(IELTS for UKVIが必要な場合も?)
大学・大学院への出願に必要なIELTSは、必ずアカデミックです。ジェネラルでいい点を取っても、一切利用することはできません。


アカデミックを受験する場合はアカデミック用の勉強が必要になるので、勉強を始めるタイミングから間違えのないようにしましょう。
また、イギリスのビザ申請に必要な英語能力を証明するための試験としてIELTS for UKVIというものがあります。試験内容は通常のIELTSと変わりません。
ただしほとんどのイギリスの大学では通常版のIELTSアカデミックで問題なく、留学先が指定しないかぎりIELTS for UKVIの受験は必要ありません。



一部のイギリスの大学のコースに入学する際に、IELTS for UKVIが求められることもあるみたい。
IELTSは種類が様々なので、入学のために何が必要なのかはしっかりチェックしておきましょうね。
総合スコアのほかに各パートの最低スコアの要件もある
「〇〇大学のIELTSの要件は、総合7.0(Overall 7.0)です」とあった場合、



IELTSの総合スコアは4技能の平均だから、得意なリーディングでスコアを稼いでスピーキングは捨てよ。
と思いたくなるかもしれませんが…
先述の通り、大学の入学要件には、各技能の最低スコアについても定められています。
例えば“Undergraduate applicants are required to achieve a minimum of IELTS 6.0 with 5.5 in each component or equivalent.”と記載がある場合は、各技能で最低でも5.5以上を取得したうえで総合6.0以上が必要ということです。
得意な技能だけ全振りして、苦手な技能は捨てる…という作戦は取れないわけですね。
ワンスキルリテイク(OSR)は受け入れられない場合も
IELTSには、ワンスキルリテイク(One Skill Retake / OSR)という制度があります。
これは、コンピューター版IELTSを受けた人が、試験日から60日以内に1技能だけ再受験をすることができる制度です。
「リスニングで集中力切れた…」「ライティングのトピックと相性が悪すぎた…」
など、どうしてもやり直したい技能がある場合はこの制度が利用可能です。
ただし、出願先の大学がこのワンスキルリテイクを認めているかどうかを必ず確認しましょう。多くの大学では、ワンスキルリテイクは認められていない傾向にあります。
なおワンスキルリテイクが認められている機関の一覧はこちら(Discover Institutions Accepting IELTS One Skill Retake | IDP IELTS)から確認できます。
出願の2,3カ月前には IELTSを受験する
IELTSの受験は早めに済ませましょう。その理由は2つです。
- IELTSの成績証明書が出るまでに時間がかかる
- 必要スコアを達成できなかった場合受け直しが必要
IELTSの成績証明書は、以下の日程で発行され、郵送されます。
ペーパー版 | 筆記試験日から13日目 |
---|---|
コンピューター版 | 試験日から1~5日目 |
郵送なので証明書の到着までにここからさらに7日程度かかることがあるそうです。
ペーパー版の場合は13日目、コンピューター版の場合は1~5日目に受験者用マイページ(オンライン)で結果を確認できますが、これは正式な記録として使えないので公式の成績証明書の到着を待つ必要があります。
IELTSの結果が出るまでに長い時間がかかるため、出願期限までに余裕を持って受験することが望ましいです。
また、もちろん1回の受験では必要なスコアに届かない可能性もあります。再受験をするにも時間がかかってしまうので、早めに受験できるよう勉強をしておくことは欠かせません。
IELTSに向け勉強するための対策方法





TOEICは馴染みがあるし教材や対策方法も充実してるけど、IELTSはまったくわからない!
という方も多いかと思うので、IELTSに向けた勉強方法を経験者である私が簡単に紹介します。
リスニング対策はイギリス英語を聞きまくれ!
IELTSはイギリス英語です。イギリス英語って、日本人にはあまり馴染みがないのではないでしょうか?
例えばイギリス英語では、「ズボン」は“trousers”、「エレベーター」は“lift”です。
他にも、“t”が強めに発音されたり、“r”はあまり舌を巻かなかったりします。



イギリス英語でスペルを読み上げられたとき、「アッアッ」と言っていて何かと思ったら“r, r”だったことがある。アメリカ英語と全然違う!
というわけで、リスニング対策をする際はイギリス英語(もしくはオーストラリア、ニュージーランド英語)をひたすら聞きましょう。
私はBBCニュース(イギリスの国営放送)をずっと聞いていました。きれいなイギリス英語に慣れることができます。
リーディング対策は長文を読むスピードを上げろ!
さて、IELTSのリーディング対策として有効なのは、パラグラフリーディングと呼ばれるものです。
これは、まず各パラグラフ(段落)の最初の1文だけを拾い、各パラグラフの主張やテーマを時間をかけずに理解するというやり方です。メインのトピックは、各パラグラフの先頭に書かれていることが多いです。
この方法だと、すべての文章を細かく読む必要がありません。どこに何が書いてあったかが、よりわかりやすくなります。



このパラグラフはこのテーマについて、このパラグラフはこのテーマについて、と大まかに理解していく。
IELTSでは、パラグラフごとにタイトルをつける問題もありますので、パラグラフリーディングは役に立ちます。サンプル問題を解く際は、パラグラフリーディングの訓練をしてみるのもいいでしょう。
とはいえ。
「全部読まないと気が済まない!」という私のような頑固者もいると思います。(私は自分が受験したとき全文章きっちり読みました。)
そんな方は、とにかく早く文章をすべて読む練習をするしかないです。何度も同じ文章を読み直さず、一発でスラスラと最後まで行けるように、練習あるのみです。
ちなみに私はジェネラルを受験しましたが、一文ずつきっちり読んでも早く読めればちゃんと時間に余裕を持って全問解くことができました。
ライティング対策は文章の構成を丸暗記!
ライティングを苦手とする方も多いのではないでしょうか?でも大丈夫。ライティングは「型」が決まっているので、その流れに沿って書くことでちゃんとスコアが稼げます。
慣れてしまえばある意味一番スコアが取りやすいかもしれません。
例えばライティングのタスク2であれば、以下の流れで書いていくことができます。
1.導入(Introduction)質問を言い換える、これから自分が何について述べるのか書く
2.本文①(Body Paragraph1-Advantages)その話題のメリットについて触れる
3.本文②(Body Paragraph 2 -Disadvantages)その話題のデメリットについて触れる
4.結論(Conclusion)こんなデメリットもあるがこういったメリットもあるという結論付け、自分の最終意見を最後に言う
“Firstly, Secondly”,“However”、“What’s more”などのよく使う接続詞を覚え、流れに沿って書く練習を繰り返しましょう。
海外大学・大学院留学には他の英語試験も使える?
海外大学・大学院の入学には、IELTS以外の英語試験も利用することが可能です。
TOEFL iBT(主にアメリカを始め北米の大学)
Duolingo English Test (DET)
ケンブリッジ英検C1,C2
PTE Academic
など、大学によって様々な異なる英語試験を認定しています。自分の出願する大学が認定している試験をチェックしておきましょう。
一度各試験の問題に目を通してみて、自分のやりやすそうな試験を狙って受験してみるといいでしょう。
【まとめ】海外大学・大学院留学はアカデミック一択!


というわけで、『留学に必要なIELTSのスコア目安は?海外大学・大学院を目指す人集まれ!』というテーマで記事を書きました。
海外の大学・大学院に留学したいという方は、必ずアカデミックの受験をしましょう!
海外大学の出願に必要なIELTSスコアは多くの場合6.5~7.0の間ですが、大学のレベルや学部によって必要スコアが異なります。希望する大学の要件をしっかり確認して、試験に臨みましょう。
また、余裕を持って試験勉強に取り組むことも大切です!IELTSは決して安い試験ではないので、しっかりと準備をしてから受験できるといいですね。
みなさんのIELTS受験を応援しています。ここまでお読みいただきありがとうございました。