IELTS(アイエルツ)という英語試験をご存知でしょうか?
IELTSはイギリスで生まれた英語試験で、なんと年間受験者数がは世界で380万人を超えています。さらに140を超える国々で合計10,000以上の機関が認定している世界的に知名度の高い英語試験です。
日本では英語試験と聞くとTOEICや英検を思い浮かべる方が多いかと思いますが、
英語圏の大学に留学したい
海外で永住権を取りたい
という方はIELTSの勉強が必要になる場合があります。
海外留学に必要な英語スコアについては、以下の記事で詳しく解説しています。
そんなIELTSは日本ではまだあまり馴染みがないこともあり、日本語での対策教材がTOEICや英検ほど充実していません。
この記事で紹介するのは、IELTSアカデミックのライティング対策について。英語のライティングなんてしたことないよ!という方も多いのではないかと思います。
私はIELTS General TrainingでOverall8.0を取得しているのですが、実は私はライティングが大の苦手。英語で短いメールを書くのにも数分かけて熟考を重ねるほど。特にアカデミックライティングなんて、高いライティングスキルを習得する必要がありそうですよね。
そこでこの記事では、『IELTSアカデミックのライティングのコツと対策方法を大公開!型を覚えれば怖くない』というテーマで以下のことについて解説します。
- IELTSの平均点・点数配分
- IELTSアカデミックのライティングの問題構成
- IELTSアカデミックのライティングのタスク別解答法
- IELTSアカデミックのライティングの勉強法
なお、IELTSのライティングはアカデミックとジェネラルで問題が違います。今回はアカデミックのリーディング対策に絞って紹介します。
それでは早速見てきましょう。
なお、IELTSジェネラルのライティング対策が知りたい方は以下の記事も併せてチェックしてくださいね。

IELTSの日本人の平均点を見てみよう

まずは勉強方法を見る前に、IELTSの平均点を確認してみましょう。ただやみくもに勉強を始めるのではなく、目標とする点数があるとよりモチベーションが上がるのではないでしょうか。
IELTSの公式サイトの『Test performance 2024-2025』をもとに、第一言語を日本語とする人のIELTSの平均点を調べてみました。
※今回はアカデミックに関する記事なのでアカデミックの平均点のみを紹介します。
- IELTS Academicの平均スコア
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リスニング リーディング ライティング スピーキング オーバーオール 6.0 5.9 5.6 5.5 5.8

ライティングの平均点はリスニングやリーディングと比べると低め。確かにあんまり英文を書く機会ってないもんね。
平均点を超えたいと思う場合、だいたいどのセクションでも6.0以上を取る必要がありそうです。
また、海外大学の出願に必要なIELTSスコアは多くの場合6.5~7.0程度です。受験する大学のレベルや学部にもよりますが、海外大学へ留学したいと考えている人は最低でも6.5以上の取得が求められます。



まずは目標とするスコアを決めるところから始めよう!
IELTSアカデミックのライティングの問題内容や特徴を確認
IELTSアカデミックのライティングでは、60分で2つのタスクが出題されます。
- タスク1: グラフ、表、図を提示され、情報を要約して自分の言葉で説明するよう求められます。データの選択と比較、プロセスの説明、オブジェクトの説明、または何かがどのように作用するかを説明します。
- タスク2: 意見、論点、問題についてエッセイを書くことを求められます。問題は、学部や大学院に進学したり、職業登録を希望する受験者向けの一般時事で、容易に理解できる内容です。
タスク1ではグラフや図表をもとに説明をする問題、タスク2ではエッセイを書く問題です。
ジェネラルとの大きな違いは、ジェネラルでは一般時事に対し主に自分の意見を相手に伝える力が求められているのに対し、アカデミックでは中立的な立場で物事を客観的に説明する力が求められています。
アカデミックのサンプル問題は、IELTS Academic Writing – Sample Tasksから確認することができます。
なんだか難しそう…と思うかもしれませんが、突き詰めれば結局は“試験”です。解答の型を理解し、その型に沿って解答する練習を重ねていけば、決して難しすぎるものではありません。
IELTSアカデミックのライティングの採点基準
ライティングテストは、「課題の達成度」、「一貫性とまとまり」、「語彙力」、「文法知識と正確さ」の分野で採点されます。



どれだけ流ちょうに書けていても、質問に対する答えになっていなかったらダメだし、ちゃんと質問に答えていても同じ簡単な語彙の繰り返しだと高得点は取れない。
ライティングのタスク1の評価基準は以下の通りです。


ライティングのタスク2の評価基準は以下の通りです。


なおアカデミック・ジェネラルともに同じ採点基準が使用されています。
IELTSのライティングの注意点・知っておくべきこと
- 時間配分に気をつける
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タスクは2つですが、30分ずつ時間を使ってはいけません!
タスク1は150語、タスク2は250語と語数の制限が違うので、タスク2により時間をかける必要があります。理想はタスク1が20分、タスク2が40分とされています。
- 文字数制限に要注意
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タスク1は最低でも150語、タスク2は最低でも250語書くことが必要です。これに満たないと、課題達成度が大きく下がる恐れがあります。
私は自分が何語書いているのかわからなくなってしまったので、練習のときから本番形式で練習して、「これくらい書けば250語」というのが分かるようにしておくことが非常におすすめ。
- 適切な文体で書く
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IELTSのアカデミックライティングは、アカデミックかつセミフォーマルかつニュートラルな文体で記述する必要があるとされています。
アカデミック データに基づいた論理的な説明をすること、感情・主観的な意見は避けること セミフォーマル 硬すぎなくていいが丁寧な文章で書くこと、口語的な表現は避けること ニュートラル 第三者目線で公平な視点からの文章を書くこと というように、アカデミック用のライティングをする必要があるのですね。口語表現に慣れ過ぎている人は、書き言葉についてももっと勉強しておくといいでしょう。
- 追加の解答用紙は早めにもらう
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ライティングでは、解答用紙が足りなくなったら追加をもらうことができます。追加の解答用紙にも氏名や会場番号などを記入する必要があるので、早めにもらって余裕をもって書きましょう。
- 書き間違えたら線で消して書き直す
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IELTSのペーパー版ではボールペンを使用するので、書き間違えた場合線を引いて訂正する必要があります。多少の間違いはOKですが、大きく文章を書きなおしたり訂正線ばかりで読みづらくなっていたりすると減点の可能性があるかもしれません。
- スペルミスも減点の対象
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スペルミス(特に一般的な単語)が散見されると、減点対象となります。書いた文章は一度目を通して、簡単なスペルミスをしていないか注意して見なおしましょう。
IELTSアカデミックのライティングのコツと「型」をタスクごとに紹介


続いては、IELTSアカデミックのライティングの具体的な書き方を紹介していきます。
タスク1
タスク1はデータやグラフをもとに説明をする問題です。グラフやデータは、線グラフ、棒グラフ、円グラフ、プロセス図、テーブル型の表など様々なパターンがあります。
今回はその全般に言える、タスク1の書き方の流れについて紹介していきましょう。ここでは以下のサンプル問題を使用します。


まずは問題が何についての図表であるのかということを、パラフレーズを用いて説明します。
例:The graph illustrates the number of radio and television audiences in Britain during the whole day in 1992.
こんな感じで、問題文とは少し違う表現を用いて再定義し直します。
続いては、全体的な図表の説明をします。
例えば今回は「ラジオを聴く人の数は午前中に多く、テレビを観る人の数は夜の20時頃にピークを迎え、逆に午後になるとラジオの視聴者が減っていき、テレビの視聴者が増えていく」ということが伺えます。
例:Overall, the number of radio audiences was highest in the morning, whereas television audiences reached their peak at around 8 p.m. During the afternoon hours, radio audiences decrease, while television viewing continues to rise.



概要は主な特徴を2つほど入れよう!
今回の問題ではラジオとテレビの2種類がグラフに表されています。そのため、本文にてその2つの動向をより詳細に説明していきましょう。
まずはラジオについて詳細を説明します。
例:Radio audiences rose rapidly in the morning, reaching a peak at 8 a.m., after which the number of listeners declined gradually until the following morning.
続いては、もう1つの要素であるテレビの表の動きについても詳しく説明しましょう。
例:Television audiences begin to increase around midday and reach their peak at 8 p.m. Afterwards, the number of viewers falls rapidly, with only a small proportion remaining during the late night hours.



必ず表やグラフの構成要素すべてについてその特徴を詳しく書くこと!どちらか一方だけに注目するのはNG。
最後は結論で締めくくりましょう。「まとめると、このグラフは~ということを示していますよ」ということが書ければOKです。
なおできるだけ既に使用した表現は避け、ここでもパラフレーズを意識して違う表現を使うようにしましょう。
例:In summary, the graph shows contrasting patterns: radio was most popular in the morning, while television dominated in the evening.
タスク2
タスク2はエッセイです。タスク2には、以下のような問題パターンがあります。
- 意見型(Agree&Disagree / Opinion)
- 両論展開型(Discuss Both View / Advantage&Disadvantage)
- 複数解答型(Cause or Problem&Solution)
聞かれている質問は違えど、書き方のパターンはほぼ同じです。勉強する際はすべてのパターンを一通りやっておきましょう。今回は以下の問題に答えていきましょう。


まずは設問をパラフレーズしましょう。この手法はIELTSではもはやお馴染みですね。
例:It is often said that children who grow up in poor families are better prepared to deal with difficult problems in adulthood than those raised in wealthy households.
さらに、これから自分がエッセイの中で述べることについても軽く触れておきましょう。
例:This essay will examine both perspectives by considering the resilience developed through financial hardship and the advantages provided by wealth, before concluding with my own view.
今回は“To what extent do you agree or disagree…”と書かれていますね。このTo what extentとは、どの程度まで、という意味です。
つまり、「どの程度この意見に賛成しますか?もしくは反対しますか?」と聞かれており、今回は「貧しい家庭で育った子供は裕福な家庭で育った子供に比べ問題解決能力が高い」ことに完全に賛成なのか、完全に反対なのか、部分的に賛成(反対)なのか、といった自分の意見の度合いを示す必要があります。



書き始める前に、自分の立場を明確にしよう。そうじゃないとエッセイに一貫性がなくなってしまう!
今回は、この意見に部分的に賛成という立場で書いていきましょう。
今回は「貧しい家庭で育った子供」と「裕福な家庭で育った子供」の2つを比べるものなので、本文のメインパートでこの両者について議論します。
まずは“Children who are brought up in families that do not have large amounts of money”側について、自分の意見を書いていきましょう。
例:Children raised in less affluent families means often learn the value of hard work and resourcefulness from an early age…
というわけで、本文1では貧しい家庭で育った人はどうやって能力を身に着けていくと思うのかを具体例も交えながら議論していきます。
今回は「部分的に賛成」という立場ですので、一方的にいいことだけ触れるのではなく、ダウンサイドにも触れておきましょう。
例:Some of them might easily give up when facing challenges, since constant financial pressure can reduce their motivation or limit their opportunities.
続いて“children brought up by wealthy parents”について議論します。
例:On the other hand, children from wealthy families are provided with extensive access to education, healthcare, and strong parental support. However, if they take these advantages for granted, they may lack opportunities to develop independence and problem‑solving skills, which are essential when facing difficulties in adult life…
今回は先述の通り「貧しい家庭で育った人の方が問題解決能力が身に着く」ことに賛成の立場でエッセイを書いています。
そのため、本文2ではなぜ裕福な家庭で育った人は問題解決能力が備わらない可能性があるのか、ということを具体的に書いていきます。
もちろんこちらも悪いことばかり書くのではなく、いい面にも触れましょう。
例:Children from wealthy families are provided with higher education, which helps them develop problem‑solving skills.
結論パートでは、まず自分の立場から自分の意見を根拠づける一文をもう一度書きましょう。
例: I firmly believe that problem‑solving skills developed through real hardships are more useful in everyday life than those acquired only through theoretical knowledge.
そして最後は自分の最終的な立場をはっきり書きます。
例:In conclusion, I agree with this opinion, as children from poorer families often face more challenges while growing up than those from wealthy backgrounds.
IELTSアカデミックのライティング対策!おすすめ勉強法4つ


最後に、IELTSのライティング対策に役立つ勉強法を紹介していきます。
サンプル問題を繰り返し解いて書き方を覚える
IELTSは試験なので、とにかく型を覚えることが高得点への近道です。
問題の傾向や出題パターンに慣れ、ライティングの構成に慣れる。これを繰り返すことで、自然に長い文章が書けるようになっていきます。
ただし、書きっぱなしで添削をしてもらっていない状態ではあまり効果がありません。解答をしたら、解答例と自分の解答を見比べる、英語の講師やAIに添削を依頼することで復習をし、自分の文章をブラッシュアップしていきましょう。



私の周りでも、最初は小学生レベルのライティングスキルだったのに、繰り返し練習するうちにネイティブも驚くレベルのライティングができるようになったという人がいます!
便利な表現や書き言葉でよく使われる語彙を覚え、型にはめて書いていくことをひたすら練習しましょう。
ライティングに使えるフレーズを丸暗記
ライティングには定番の表現が存在します。以下は使えると便利な表現の一例です。
| I believe that… | …だと信じている |
| This essay will examine / discuss… | このエッセイでは…のことを議論する |
| The main reason is that… | 主な理由は… |
| Moreover | そのうえ |
このように、セクションの書き出しに使える表現やちょっとかしこまった接続詞など、どんなテーマのエッセイでも使える表現を暗記しましょう。



これらを覚えておくと、ライティング中に「これはどうやって書いたらいいのかな…」と考える時間も短縮できる!
話し言葉を書き言葉に変換する練習
ライティングでは必ず書き言葉を使いましょう!
英会話の勉強をしていると、スラングや略語などをたくさん覚えてしまいがちですが、ライティングでそのような言葉を使うのは好ましくありません。
以下に言い換えの一例を挙げていきます。
| 話し言葉 | 書き言葉 |
|---|---|
| a lot of | many / a large number of |
| kids | children |
| nowadays | currently / at present |
| really / very | extremely / highly / significantly |
| So(接続詞) | therefore / thus / consequently / as a result |
日本語でもエッセイを書く際、「めっちゃ」や「やばい」なんて言葉は好ましくありませんよね。
問題文を素早く理解する訓練
ライティングは書くスキルを測るものに間違いないのですが、問題文が読み取れることが大前提です。問題文や図、グラフを理解するのにも一定の時間がかかるんですよね。
もしこの問題文が理解できなかったら…これ、けっこうヤバイです。的外れのことを答えてしまう可能性だってありますし、グラフを読み間違える可能性だってあります。


例えば上はタスク1のサンプル問題ですが、読み取ることが多いですよね。しかもこれを20分で解くことが理想なので、素早い読解力が必要です。
リーディングスキルがまだあまり足りていないと感じる方は、IELTSで使われる語彙力の強化、英文を早く読む力を身に着けることが必須です。


英語ニュースを読む
ライティングの勉強に効果的な方法の1つは、英語のニュースを読むことです。ニュースの英文はとてもフォーマルで文法的にも正しく、まさに書き言葉のお手本です。
さらに多くの場合、中立的な立場からデータをもとに記事が書かれています。これってまさにIELTSアカデミックのライティングが求めていることですよね。
ニュースを読みながら使えそうな表現をピックアップしたり、よく使われている接続詞などを意識して探したりしてみましょう。語彙力のアップにもつながります。



私はよくニュースを書き写しながら読んでいました。自分でこんな文章が書けたらかっこいいよなあと思いながら。
【まとめ】アカデミックライティングは対策すれば怖くなんかない!


というわけで、『IELTSアカデミックのライティングのコツと対策方法を大公開!型を覚えれば怖くない』というテーマで記事を書きました。
ライティング=難しそう
というイメージが私にもありましたが、ちゃんとやり方を覚えて書いていけば意外と簡単です。
ライティングは型がありその型に沿って書いていけばいい分、当日も安定して実力が発揮できる「比較的安泰セクション」だと個人的には感じています。
その代わり、対策をしていないと何をしていいのか全くわからずに支離滅裂なライティングになるのです(経験アリ)。
つまり、対策をしたかしないかで結果が大きく変わるものであり、対策をしたらある程度のスコアは取れると捉えていいのではないでしょうか。
スピーキングよりも緊張感が少ないですし、練習をした成果が出やすそうですよね。ライティングは苦手だしめんどくさいと思わず、しっかり対策をして点数を稼いじゃってくださいね!
ここまでお読みいただきありがとうございました。みなさんのIELTSを応援しています。












