カナダでワーホリをして1年で帰ってくるっていうのもなんか味気ないし、現地でそのまま就職できないかな?
と考える人も少なくないのではないでしょうか?
カナダではCoopやワーホリなどで短期的に就労をする仕組みは整っていますが、そのまま現地で就職するとなると気になってくるのがその難易度とプロセスですよね。
この記事では『カナダ現地就職は難しい?流れやコツを一挙紹介【ワーホリから目指す現地就職】』というテーマで、
カナダビクトリアでワークビザを取得し、現地の老人ホームで働く筆者が以下のことについて紹介していきます。
- カナダ現地就職の流れ
- カナダ現地就職の難易度
- 日本との就活の違い
- カナダワークビザ取得の体験談
それでは早速見ていきましょう。
知っておきたいカナダの就職・就活事情!
まずはカナダで「就職」とはなにかについて紹介していきます。
いやいやアルバイトじゃなくて正社員として働くことを就職っていうんでしょ!
と思う方も多いと思いますが、カナダの就職・就活は日本とは意外と事情が異なります。
日本とは違うカナダの就職・就活事情をチェックしていきましょう。
「アルバイト」「正社員」に明確な違いはなし!何をもって就職か?
カナダでは、「アルバイト」と「正社員」に明確な違いはありません。
日本では求人情報を見ると「正社員募集」もしくは「パート・アルバイト募集」というふうに記載があると思います。
しかしカナダではフルタイムワーカー(週に40時間勤務)かパートタイムワーカー(週に20時間勤務)か、くらいの区別しかありません。
「入社したわけではないが大学卒業後に仕事としてレストランのサーバーをしている」というような人も多いです。
日本では「フリーター」という感じだけど、カナダでは普通に「仕事」としてやっている人が多い。
またフルタイムでマネージャーとして働いているけど、給料は時給ベースということも普通です。
とはいえ月給で支払われるオフィスでの仕事をする場合は、日本の就職と近い形になります。
「新卒で就職」は当たり前ではない!一斉就職もなし
日本では大学3年生のうちから就活を始め、卒業後は間を開けずにすぐ就職をするのがお決まりのパターンですが、カナダではそんなことはありません。
カナダでは新卒採用という文化はなく、どの企業も常に求人情報を出しています。
中途だろうが新卒だろうがブランクがあろうがお構いなし。新卒であっても常に募集されている求人情報から、就職先を探していくことになります。
そのため大学を卒業してもとりあえずパートタイムで働いたり飲食店等のフルタイムに応募したりする人も多いです。
オフィスで働く以外であれば、カナダで就職する(フルタイムで働く)ハードルはそこまで高くありません。
即戦力になれるスキルや職歴が求められる
カナダでは新卒の一斉就職がないため、一つの求人に大学生から転職希望者、さらには留学生まで一斉に押し寄せることになります。
そこで一番求められるのがスキルや職歴で、企業は一般的には即戦力となれる人材を求めています。
過去の職歴や大学の学部など、その職種に活かせるバックグラウンドがあるかどうかが大事ってことだね。
カナダではたとえアルバイトであっても応募段階で履歴書を送付するため、そこでしっかりスキルや職歴をアピールできなければ面接に呼んでもらうことすらできません。
もちろん英語力も欠かせません。
日本人がカナダで現地就職する流れ
それでは、日本人がカナダで現地就職を目指す際はどのような流れになるのでしょうか?
ここでは一旦、「現地就職」を「企業からワークビザを出してもらいフルタイムで働くこと」と捉え、ワークビザをもらうための流れを紹介していきます。
ワークビザは更新が可能で、永住権も目指せるので現地就職をするための第一歩です。
もちろんやり方は一通りではありませんが、ここではワークビザをもらう際の最も一般的な流れについて解説します。
現在の職場からLMIAを発行してもらいワークビザ申請
カナダで就職したいと思う場合、まずはワーホリビザや就労可能な学生ビザ(Coopなど)の有効なビザを取得している必要があります。簡単に流れを説明すると、
①ワーホリ・Coopなどで職場を見つける→②職場にスポンサーになってもらう→③LMIA審査をクリアする→④ワークビザをもらう
という流れです。各手続には長い時間がかかるので、少なくともビザの期限が切れる半年前には動いておいた方がいいでしょう。
なおLMIAとは『Labor Market Impact Assessment』の略で、外国人(自分)を雇うことでカナダ人の雇用を阻害しないかどうかの調査のことです。ワークビザを申請するのに欠かせない条件の一つです。
文字にすると簡単ですが、それぞれの手続きはなかなか難しく時間がかかるのが現状です。
私自身はエージェントを利用して私と職場の間に入ってもらい、必要な手続きをすべて代行してもらいました。
さらに2024年の秋以降、カナダの移民政策は大幅に変更されており、以前よりも申請の難易度が上がっています。
ワークビザが切れるたびに更新してカナダで働き続けることもできますが、永住権の取得を目指す人が多いです。
Coop・ワーホリから現地就職する際は上記の流れ
Coopやワーホリから現地就職をする際は、上記で解説したように自分の働きたい職場にスポンサーになってもらい、LMIA審査をクリアしワークビザを申請するという形になります。
ワークビザを目標としている方は、初めの職探しの段階で「ビザのサポートをしてくれる会社か」ということを確認しておいた方がいいでしょう。
外国人のビザのサポートは一切しません!と明言している企業もあります。
ワーホリやCoopで仕事が見つかっても、ビザのサポートをしてくれなければ現在のビザが切れたら辞めざるを得なくなってしまいます。
とりあえず永住権を取るために飲食店で働いて、永住権が取れた後に自分のやりたいことをする、という人も多いみたい。長期戦だけどね。
カナダのオフィスで働きたい、自分の希望の職種に就きたい、という方は何年という長い時間がかかることは覚悟したほうがいいかもしれません。
現地就職をするにはCoopとワーホリどちらが有利?
Coopでもワーホリでも大きな違いはありませんが、Coopでは専門的な勉強をして、関連職種で有給インターンシップをすることができます。
この経験は就職の際に有利に働く場合が多く、ワーホリで語学学校に通うよりも深い経験を得ることができます。
Coopの勉強はカナダでの学歴にもなるので、履歴書に書けることも多くなります。
カナダで就職する際の注意点は?【ビザがないと論外】
では、カナダで就職する際に具体的に気をつけることはなんでしょうか?
ここでは、カナダで就職を目指す方が注意すべき点を紹介していきます。
就労ビザをサポートしてくれる雇用主を見つける
カナダで就職する場合、ほとんどのケースで企業が自らあなたのためにビザを出してくれるわけではありません。
まずは有効なワークビザ(ワーホリや学生ビザなど)を持った状態で働き始め、そのあとワークビザに切り替えるという手続きが必要となります。
自分で働きたい職場を見つけ、ビザのサポートをしてもらえないか交渉する必要があります。
面接の際にビザのサポートも可能か聞いておくのもアリだと思います。
ビザがすぐに切れてしまう人を採用したい雇用主はいない
オフィスジョブがしたいという人も多いと思いますが、ビザが1年で切れてしまう外国人を積極的に雇ってくれる企業は少ないです。飲食店は入れ替わりが激しく短期でも採用されやすいため、多くの留学生が飲食店で働いているのが実情です。
ビザのサポートにも時間と労力、費用がかかるので、企業側もそう簡単にはあなたのビザをサポートしてくれません。
明らかにビザ目当ての外国人もいるから、企業側は採用に慎重になる…
ビザの残り期限が長ければ長いほど、職場は見つけやすくなります。渡航後は早めの仕事探しを心がけましょう!
未経験者は門前払い!履歴書でふるいにかけられる
日本でアルバイトに申し込む際は、まずは面接に呼ばれてそこで履歴書を見せて話し合うことが多いのではないでしょうか。
カナダでは、応募の際に履歴書も一緒に送付することが必要です。雇用主はその履歴書をチェックし、その人を面接に呼ぶかどうかを決めます。
そのため履歴書の書き方が悪かったり、十分な経歴が無かったり、スキルが足りないとみなされた場合は連絡すら来ないことも多いのです。
現地企業で働きたいなら高い英語力は必須
アジア系の飲食店は英語が苦手でも比較的採用されやすい傾向がありますが、現地の企業でネイティブたちと働きたいならば高い英語力は欠かせません。
ネイティブレベルほど完璧である必要はないですが、コミュニケーションに困らない程度には英語力があることが求められます。
さらに日本人よりもはっきりものを言う人が多いので、イエスマンでいると「自分の意見が無い人」「何でもやってくれる人」と思われてしまうかもしれません。
英語で自分の意見がはっきり言えるように、英語の勉強は継続して行いましょう!
実力社会でクビになるのも当たり前
私自身、同僚の日本人やカナダ人がクビになっていくのを何度も見たことがあります。留学生であろうが現地の人であろうが関係なく、「必要ない」と思われたらクビになることも珍しくありません。
クビになる理由は様々ですが、
- 勤務態度が悪い・遅刻が多い
- 仕事を遂行する能力がない
- 企業側の経営不振による人件費カット
- マネージャーとウマが合わない
など、自分のせいなこともあれば理不尽なものも色々です。ワーホリでもクビになる人は意外と少なくありません。
ビザに関する政府のルールは刻一刻と変わる
永住権を取得するまでは、やはり外国人の立場は不安定です。
先述の通り2024年秋以降LMIAの取得の難易度が上がったため、ワークビザの取得も今は以前より難しくなっています。
さらにワークビザも2年だったものが1年に短縮されたり、永住権取得のための要件が難しくなったりと、ビザの状況はどんどん変わっています。最新情報に目を光らせておくことが重要です。
私自身も、ワークビザの更新ができずに帰国することになったという話も聞いたことがあります。
常に第二、第三の案を考えておくことが大切だと思います。
私がカナダ現地の老人ホームでワークビザを取得した体験談
私は2021年にカナダに渡航し、以下のような道筋をたどってきました。
Coop留学→ワーホリ→ワークビザ
ワーホリ中に現地の老人ホームの仕事を見つけ、そこで無事にワークビザのサポートをしてもらいました。
2025年1月現在は老人ホームで働きながら永住権の取得を目指し中です。
ここでは実際に私がワークビザを取得できた流れや現地で働き続けるリアルを紹介します。
Coop→ワーホリ→ワークビザ取得の流れ
Coop留学時はホスピタリティ・マネジメントを専攻していたため、関連職種であるジャパニーズレストランで働いていました。その後ワーホリでは老人ホームのダイニングルームで働き、Food & Beverage Supervisor(フード&ビバレッジスーパーバイザー)としてワークビザを取得することができました。
Coopで1年間ホスピタリティを専攻していたので、関連職種ということでワークビザ申請時に有利に働きました。
老人ホームにビザのサポートをお願いしたところ、「Yukiにはもっといてほしいから、サポートするよ!」という二つ返事をいただきました。本当にありがたかったです…。
とはいえ私の老人ホームは現地ローカルの会社で、過去に外国人をサポートした経験はありません。
サポートの方法を誰も知らないので、私自らビザエージェントを雇い、職場と私の間に入ってもらうことで少しずつ進めていきました。
職場がノウハウを知らない場合、エージェントがいなかったら自力でやるのはほぼ不可能に感じました…。
結局ワークビザ申請から取得までに半年以上かかりましたが、無事にワークビザを得ることができました。
現地就職…と言えるのか?
というわけで私は2025年現在、ワークビザでカナダの老人ホームのダイニングルームでスーパーバイザーとして働いています。
とはいえ仕事はシフトベースですし、やっていることもワーホリ時代と変わらないので、果たしてこれは現地就職と言えるのだろうか?と感じているのが正直なところです。
オフィスで働いているわけでもないし…月給でもないし…
とはいえ更新可能なワークビザのもとで働き、スーパーバイザーという役職ももらっているので、アルバイトではないという意味では「就職」と言えるかもしれません。
カナダでオフィスの仕事はまだ経験したことがありませんが、オフィスで働けるようになれば「就職感」が出るんだろうなと思っています(笑)
永住権を取得後にやりたい職種へ転職するのが目標
現在の私のビザは「クローズドビザ」なので、今の職場以外の場所で働くことはできません。永住権を取った後にオフィスやホテルなど、自分の興味のある仕事に正式に就職することが今の目標です。
ワークビザだとやっぱり立場が弱い…
カナダで就職するには長い時間と面倒なプロセスが必要であることを身をもって実感しました。
カナダで就職するとどうなる?給料や職場環境について
一部の人にとって憧れのカナダ現地就職ですが、気になる生活の様子も紹介します。
日本とは違う点も多いので、参考までに私の体験も交えて解説していきます!
給料がめっちゃいい…わけでもない!
カナダは日本よりも給料がいい!めっちゃ稼げるはず!
と思っている人も多いかもしれませんが、実は確実にそうとはいえません。
バンクーバーがあるブリティッシュコロンビア州の最低時給(2025年1月現在)は$17.40です。これは確かに日本よりも高いですが、その分物価や家賃もかなり高いです。
私のアパートは月$2,097!二人でシェアしているけどそれでも日本円にして10万越え。家賃補助もありません。
職場によってはチップがもらえ、月に$4,000ほど稼げるような場合もありますが、すべては職場次第です。冬の閑散期は収入が激減ということも珍しくありません。
残業は少なめ、有給やバケーションは取りやすい
日本に比べ、残業は少ない傾向にあります。
「長い時間働く=偉い」ではなく効率的に働くことが評価される印象!
また、有給休暇やバケーションも日本に比べると取得しやすいことが多いです。
私の職場のカナディアンも「従業員の権利を尊重しない雇用主はあり得ない!」と言っており、休暇を取らせてもらえない、給料がちゃんと払われないということは論外という風潮があります。
就職していてもシェアハウスは当たり前
家賃や物価の高さから、しっかりフルタイムで就職をしていてもシェアハウスで暮らしているという人がかなり多いです。
一人暮らしで部屋を借りると、ワンルームで日本円にして15万円以上かかることが普通です。シェアハウスであれば8万円程度で暮らせるので、節約のためにシェアハウスを選ぶ人が多いのです。
日本なら当たり前に一人暮らしができる値段で、カナダではシェアハウスになる…!
安い分、多少の不便は我慢する必要があります。
【まとめ】カナダ現地就職は可能!スキルを磨いて挑戦してみよう
というわけで、『カナダ現地就職は難しい?流れやコツを一挙紹介【ワーホリから目指す現地就職】』というテーマで解説をしてきました。
カナダでワークビザを取得する難易度は上がってきていますが、早めに対策していれば難しすぎるものではありません。
- 就労ビザをサポートしてくれる雇用主を見つける
- ビザの残り期間が長いければ長いほどいい
- 高い英語力を身に着ける
- ビザに関する最新情報を追っておく
上記のことに気をつけながら、まずはスポンサーになってくれる企業を探すことが大切です。
仕事が見つかったら、その職場にとって大切な存在になれるように自分の能力をどんどんアピールしていきましょう!
ただのワーホリ・留学で終わらせないために、ぜひカナダでの就職も視野に入れてみてくださいね!
ここまでお読みいただきありがとうございました。