皆さんこんにちは、管理人です。
最近ですが、JR東海が在来線の英語アナウンスを開始するというニュースがずっと話題になっていました。この事に対して英語学習業界でも結構ザワザワしている様子です。管理人は、地元が東海地方でしたのでJR東海は幼少期よりずっと利用してきましたし、学生時代には100%子会社で働いていたこともあるので、JR東海の体質については割と熟知しているつもりです。
そんなJR東海がなんと在来線でも『肉声の』英語アナウンスを開始したとのことで、これは当サイトとしても取り上げなければならないと思った次第です。
JR東海の英語アナウンスは以前は新幹線のみ
さて、なぜ今回のJR東海の肉声英語アナウンスが物議を醸しているのか気になるかもしれません。
従来、JR東海では東海道新幹線のみにおいて車内の英語アナウンスを行なっていました。新幹線では、元々ネイティブの女性の声でアナウンスがあるのですが、それに加え、車掌による肉声でのアナウンスも始められていました。
新幹線というのは、インバウンドの外国人旅行客も多く利用するため、ニーズが非常に高かったと思われますが、今回は『在来線でも』英語アナウンスを行なっていくということで大きな話題となったのです。
JR東海初めての英語アナウンスと車内の反応
管理人は在来線で初めて英語アナウンスがあった時のことを今でも覚えています。
ある日の夕方のことです。管理人は名古屋駅発の在来線に乗っており、出発を待っていました。車内が穏やかな空気に包まれる中、そのアナウンスは始まりました。
『・・・快速〇〇行きです。ズィストレイン、イズ、バウンドフォー…』
おおぉぉぉ、英語喋ってるぅ!!!
まだJR東海が試験的に英語アナウンスを始めた頃だったので、今ほど乗客も慣れていません。車内がザワザワし始めます。中にはどれだけ英語ができる方か知りませんが、『プププッ…』と笑い出す人もいます。
管理人の周囲では、『ね、今英語しゃべったよね!?』という驚きを隠せない声でいっぱいでした。今となってはだいぶ定着していますが、当時はそれほどでもなく、誰もが違和感を感じるような状況だったのです。それに、だいぶマシになりましたが、当時はこの異常なまでの『棒読み感』が全面に押し出されており、社内の失笑を買っている一面もありました。
JR東海が英語アナウンスをする狙いとは
さて、ここまでして旧国鉄のJR東海が英語アナウンスに踏み切った理由というのは何なのでしょうか。
個人的にはどう考えても2020年の東京オリンピックが関係しているように感じます。JR東海に限らず、全国の各社が東京オリンピックを意識し、企業における英語の導入をどんどん進めています。
JR東海としては、年々増え続けるインバウンド対応を見据え、新幹線のみならず在来線でもお客様に的確な情報を届けようということでしょう。また、他企業に先駆けて英語を社内に導入することにより、センセーショナルな風を巻き起こしたかったという考えもあるでしょう。
ただ、ここに一つ大きな問題が生じてきます。
皆さまもお気付きの通り、社員さんの英語力です。
英語アナウンスは伝わらなければ全く意味がない
この車内英語アナウンスに関しては、お世辞にも上手であるとは言えません。
文春オンラインでも次のような記事が出ています。
高学歴なはずであるが
JR東海東海旅客鉄道と言えば、インフラ業界の雄として、旧国鉄の時代から安定の就職先として知られ、現在も就職活動中の大学生の皆さんから人気の大企業となっています。JR東海には色々職種がある訳ですが、総合職(現場に出てこない人達)に限ってはJR東大とも揶揄されるほどの学歴主義で知られ、いわゆる現場のプロフェッショナル職に関しても、そうそう簡単に内定を貰える企業ではありません(ただ、東海地方の大学には学校推薦は多数存在する)。
そんな高学歴かつ優秀な人間が入社する企業であるにも関わらず、何故か英語に関しては一流ではないのです。確かに、日本国内のインフラ業務というのは海外展開する必要も無く、グローバル事業も手掛ける理由もないことから、メーカーのように英語を駆使して話すという機会はありません。JRの車内TOEICスコア要件みたいなものも聞いたことがないですし、そもそも会社的に必要に迫られていないことから、英語ができる人が少ないのかもしれません。
そこで頑張ってジャパニーズイングリッシュを話す訳ですが、残念ながら実際にネイティブに伝わる確率というのは相当低そうです。日本生まれである以上、日本語訛りが生じるのは避けられませんが、もはや英語を『日本語として』読まれていらっしゃる方が非常に多いように感じます。
完全に英語を読もうという気が無いんだろうなという方々ばかりで、どうもこの方針自体に無理があるような気がしてなりません。毎回聞きながら、『あー、これは完全に上からの決定なんだろうな。やれって言われているんだろうなぁ』というのが丸わかりであるということです。
英語というのは、アクセントがなんであろうが、伝わってナンボのツールでしかありません。伝わっていないのであれば、それは全く意味のない事をやっているに過ぎません。社員の英語力を一から評価し、しっかり伝わる英語で話さなければ、もはや英語アナウンスの部分は雑音でしかないのです。
やるか、やらないか。もっと最初に慎重な判断をすべきであったのではないかと思えてなりません。こんなことを思っているのは管理人だけかと思ったら、京都大学経営大学院の教授も自身のブログで『止めてくれやJR東海』とタイトルを称し、こんなことを述べていました。
以前にも書いたが、JR東海の車内アナウンスが酷いことになっている。何かというと、車掌による英語のアナウンスである。笑いを通り越して、ついに怒り始めてきた。日本の大恥でもある。次は右のドアが開くとか、左やとか、さらには定刻通り運行していて次の駅まで10分やとか、それを車掌が英語で喋る。これが酷い。
(中略)
JR東海の場合、そんな許せる、許せないの域を超えてしまっている。英語にカタカナのルビがふってあって、それを読んでるんとちゃうやろかという、英語もどきのアナウンスさえ多い。近くにいたある日本人は、そのアナウンスを聞いて噴き出していた。でも、たまに聞くのやから噴き出すだけで済むのであって、しょっちゅう聞かされている者の身になってみろと思ってしまった。そもそも、そんな変な英語を外人に聞かせるのは「日本の恥」である。と、書きながら思い直したのは、ネイティブな外人の場合「訳の分からん、また別の日本語の案内をしてるのかな」としか思わないかも。英語圏以外の外人にとっては、「何か英語的な単語が聞こえるけど、何のこっちゃろ」と首をかしげるだけかも。
(中略)
「もっとまじめに車内アナウンスを考えろや、バカたれJR東海」というところだ。
引用元:京都大学 経営大学院 川北英隆のブログ
この教授に関しては全く存じ上げませんでしたが、ほとんど管理人の言いたいことと一致しています。
まぁ、『バカたれJR東海』とまでは管理人は思いませんが、当社の英語運用スタイルに対する味方一致しています。こんなのはあくまでも一例で、同じ意見の方は全国に沢山いらっしゃると思います。
LとRを使い分けれている人間はいない
そうは言っても、中にはそれなりになんとか発音できている方もいらっしゃいます。しかし、そのような方々の中でも、日本人が間違えやすいような発音に関しては壊滅的な状況になっています。
例えば具体例を挙げてみましょう。
電車が駅に着こうとします。ここで、通常、日本語では『お出口は右側です』というアナウンスがえるかと思います。
これを英語で表現すると、”The doors on the right side will open.” となるわけですが、全員”the doors on the light side will open.” となっており、rightとlightを区別することが全くできていません。
そんな細かいことと思うひともいるかもしれませんが、この違いは非常に重要になります。”I eat rice.”はよいですが、”I eat lice.” は相当ヤバいことになります。ちなみに、今まで聞いたアナウンスの中で、ちゃんとRの発音をできている人は1人もいません。
天下のJRでも、要はそういう事なのです。
英語アナウンスに対する当サイトの立場
今回のJRの在来線アナウンスに関して、当サイトはいたずらにディスっているわけではありません。むしろ、在来線の英語アナウンスなんかする必要が無いという立場です。
日本は外国人に対して優しすぎる傾向があります。過去の敗戦国という歴史を振り返っても、どうしてそこまでやらなければいけないのかという気になってしまいます。なぜならここは日本であるからです。他国のローカル線を乗ったらご丁寧に日本語のアナウンスが流れてきて助かったという話は聞いた事がありません。
簡単に言うと『やりすぎ』だということです。
グローバル化を謳い、積極的に英語アナウンスを導入しようという姿勢は評価できるでしょう。しかし、それがもはやカタチを成していなかったらやらない方がマシだと言えます。
ネイティブからしてみれば、何やら英語っぽいよくわからない言葉を喋っているぞと思われるのがオチであり、そこまで『無理をして』英語を話す必要もないのです。
英語アナウンスで発音は大事
現代は英語話者のうち、非ネイティブがネイティブを上回る時代です。『Englishes』と呼ばれるように、様々なアクセントの英語が存在することは事実です。
別にサムライアクセントでも問題ないでしょう。しかし、それでも発音はネイティブに近づけるべきであると感じます。意思疎通をした上で、知性を感じさせ、リスペクトの気持ちを相手に与える為には、やはり発音はどう考えても重要だからです。
『ハイ、ミナサンコニチワ』という外国人と『どうも、こんにちは』と話す外国人がいた場合、どちらの方が尊敬の念を持って相手から接して貰えるでしょうか。話す内容によっても異なると思いますが、後者の方が耳を傾けて貰える傾向が多くなると思います。
日本語に置き換えてみると、これは容易に想像が可能かと思われます。
従って、企業の方針として徒らに原稿を読ませて終わりにするのではなく、トータルでの底上げが何より大事であることは言うまでもありません。単純にルビを振ったものを読むだけでは上達はあり得ないので、基礎から発音の訓練をするなり、しっかりとした英語の土台を作らなければなりません。
まとめ
結局のところ、安河内先生も良く言っているように、英語など『ただの言葉』であり、『やれば誰だってできる』ものであるということです。ただ、企業内の方針として英語をやっていこうとなると、どうしても『やる人間』と『やらない人間』が出てきます。
英語学習は、本当に主体的に取り組まないと何百年やっても効果は無いので、いかに社員のモチベーションを上げ、自発的に練習をするなどというように主体的に取り組ませるかが鍵となって来そうです。
最近の中日新聞にもこんな記事がありました。
当初はアナウンスの例文のメモを見て読み上げていたケースが多かったというが、現在は暗記して話す車掌も増えているという。
社内での英語のロールプレイングを始め、英語対応の力を付けて言っている状況であるとのこと。
一番手っ取り早いのは、英語資格試験に対して報奨金を設けてしまうということでしょう。かの昔、ソフトバンクがやっていたように、『TOEIC900点突破で一時金100万円!!』などと謳えば、皆必死になって努力するような気もします。なぜなら、誰もが、命の次に大切なものはお金であるからです。
JR東海も事業内容的に、完全に殿様商売であることは間違いの無い事実であるのですが、そこに胡座をかくのではなく、更に成長することで経済を引っ張って行って欲しいと思います。
いずれにせよ、新しい取り組みが出来てから定着するまでには時間がかかります。英語アナウンスや英語対応を強化していきたいとするならば、JR東海が今後行うべきこととしては、新卒の採用時に学歴ばかりに注目するのではなく、『実力』も評価対象に入れるべきであるということです。
航空会社のように、そもそもの応募条件として『TOEIC650点・英検2級』のような基準を求めれば状況もより正のスパイラルで改善していくようにも感じます。現代においてあまり意味を成さない『学歴』ばかりに囚われるのではなく、『実力』を加味した選考を行うことで更なる発展が見込めるでしょう。
今後の動向に期待です。
最後までお読み頂き、有難うございました。